かげろう珈琲のこと

 

かげろう珈琲をはじめようと思った理由をまとめています。

お店と私のご紹介とともに、迷った時に立ち返られる備忘録ともなるように・・・。

2019.2.21

 

これまでの仕事から

このブログを始める少し前までは、生きものと、その動植物がすむ自然環境を守る仕事をしていました。主に首都圏での業務が多かったのですが、日本全国の自然環境を対象に頑張っていました。

しかしどうでしょう。たまに帰省するとあったはずの森がありません。近所の川もいつの間にか単調な流れになってしまっています。田んぼが無くなり、夏の夜に響いていたカエルの合唱も聞こえてきません。

とても悲しい事でした。
これ以上大好きな自然を失わないために、いつかは甲府に戻って地域に根差して自然環境の保全に携わろうと思うようになりました。

これまでの仕事では行政の仕組みの中で環境の保全を行うことも多くありました。

とても良い事例も多くありますが、一方で初めこそよかったものの、事業としての期間が終わってしまい、手入れができずに再び荒れ果てた環境に戻ってしまうことも多く見受けられます。

では再生した自然を継続的に守るにはどうすればいいのでしょうか。

その答えの一つは、地域の人が関心を寄せることだと思っています。

大きな塊の自然はもちろん大切ですが、身近にある小さな自然こそ失われやすく守っていく必要があると考えています。意外や意外、のぞき込むと野草が生え、たくさんの生きものが暮らしていたりします。

どうしたら身近な自然に関心を持てるのか。これは私の意見ですが、ちょっと散歩に出かけたり、虫採りや魚採りをして遊んだりといった体験こそが大切なんじゃないかと思っています。

自然を守ることの大切をさ伝える(知る)機会は増えてきたように思います。
これはとても大切なことですが、案外楽しくありません。

それより身近にどんな自然があって、どんな生きものが暮らしているのかを体験することや、そのなかで遊んだ記憶のほうが、自然を大切に思う気持ちが芽生えるんじゃないかと考えています。また、そうした体験は私たちの生活を豊かにするんじゃないかとも。

「原風景」と聞いてどんな景色を思いうかべるでしょうか。

ここらでは17時になると「ふるさと」がながれます(ながれていました)。私は小さいころ夕方になるまで川や草原でばっかり遊んでいたので、この鐘の音を聞くと当時の風景が鮮明に浮かびます。

こうした原風景とも呼べる景色、経験こそが自然を守ろうという思いを起こすうえで非常に大事なんだと思います。この記憶なしに、自然を守ろうと訴えてもなかなか思いを強くすることはできません。

ちなみに甲府ではまだあちこちでホタルが見られます。かなり減りましたがカブトムシもオオムラサキも見られます。こうした残された自然を共有して、いつまでも同じ原風景を見られるようにしたい!

コーヒー屋ではありますが、地域の自然環境を守ること、これを一つの目的としてやっていきます。

 

実現したいこと

‟住みたいまち”ってどんなところだろう、とふと考えることがあります。

今至っている考えは、端的に言えば住んでいる人たちが元気で、明るいまち です。

少し説明しますと、若い人もお年寄りもお散歩でも何でもいいので出かける機会が多くて、近所の方たちどうしの会話が多いまち。ちょっとしたイベント(集まり)などがよくあって、出かける機会のあるまちです。

これまでいくつかの県で生活してきましたが、山梨県はこうした生活が難しい土地なのかもしれないなぁと感じています。一番の要因は車社会であること。近所を歩く機会が少ないように思います。車である程度移動してしまえば地域のコミュニティはありませんし。案外東京の方が、行動範囲が徒歩や自転車圏内だったりして、みなさんよく立ち話をされているのを見かけます。

これまた自分の考えで根拠はないのであまり適当なことは言えませんが、目標のある人や、おしゃべりする機会が多い人は、元気な人が多い!と感じています。

ならば地域が元気になるような事をしよう!と思ったことも、かげろう珈琲をはじめようとしたきっかけです。

自家焙煎の豆屋としてだけではなく、カフェとして場を提供したいと考えています。

イベントやサークルのような活動もおいおい開催したいと思っています。できれば小さな子どもからお年寄りまで、交流できるような場所を作っていきたいと考えています。

子育て中の方が相談できるような仕組み作りも目指したい。やりたいことがたくさんあります。

まだ何も始まってはいませんが、いろんな試みを発信していきたいと思っています。そして、いい事例は拡散して、あちこちで取組まれるといいなぁと思っています。自然の中での体験もそうですが、子どもたちが安心して暮らして、地域に愛着をもつことができれば、明るい‟まち”が待っている気がします。

 

なぜコーヒー屋か

ここまでの話で、じゃあコーヒー屋を始めよう!というのは少し突飛かもしれません。

なぜコーヒー屋を始めようとしたかといいますと、ここまで書いてきた事を実現しようとしたときに一番形式にこだわらずにできるのが、コーヒー屋(カフェ)だと思ったからです。

環境保全をやるならば、保全団体のほうが有利に感じるかもしれません。なにより仕事として環境にかかわれますし、同じ思いを持つ多くのボランティアさんに支えられてこれまで仕事を行ってきました。
ですが、参加してくださる方たちはそもそも自然環境に関心の高い方たちであるということに気が付きました。

どうすればあまり関心のない方たちに自然の楽しさや大切さを伝えられるか、という事をずっと考えてきましたが、これは切り口を変えるしかないと思うようになりました。何気ない生活の中で、すこし紹介したり、触れてみるという機会を作って、できるだけたくさんの人の関心を高めていこう! そしてめぐりめぐって地域の自然環境をみんなで守ろう! と考えています。

いろんな人が訪れるカフェならば、それを実現できると考えています。

また、いろんな人たちをつなぐ、コミュニティの場としてもカフェはとてもいい場所だと思います。多くの方たちが集まって、多様なコミュニティがうまれる、そんな地域の方たちにとってのハブのような機能を持たせたいと考えています。

あと、言うまでもなくコーヒーが好きで、いつかは(もっと先のことだと思っていました)お店を持ちたいと思っていたためです。

 

かげろう珈琲のなまえ

なぜかげろうか。儚くないか?とか、虫なの??といった声が聞こえてきそうなので一応ここでご説明したいと思います。理由付けが苦しいな、とは言わないでください。ちなみに当初は「蜉蝣」を検討していましたが、読めないので却下となりました・・・。「浮いて」「遊ぶ」とは素敵なのですが。

生きもの屋目線の理由です。「かげろう珈琲」には下のような意味合いを込めています。

  • お客様とかかわる時間はその方の人生の一瞬でも、人生を豊かにするきっかけになりたいから
  • かげろうが河川生態系の下支えであるように、まちの基盤のような存在になりたいから
  • 釣りが好きだから

 

人って大切なことは最後に書くとか書かないとか。

以上かげろう珈琲のご紹介でした。

こんな理想を掲げて、頑張っていきます。